実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜

11.犬猿の仲

 アダルフォの言う通り、シルビアは社交術に長けていた。わたしから上手に話を引き出してくれる上、自分自身の話もしてくれる。平民出身のわたしに気遣って話を合わせてくれているのが分かるんだけど、それらを『頑張ってやってる』って感じじゃなく、極々自然にこなしていた。


(すごいなぁ……)


 講義の場で如何に『社交が大事』とか『外交が大事』って言われても、正直言ってピンと来ない。そもそもが、ついこの間まで雲の上だと思っていた世界の話だもの。具体的にどう大事なのか、どんな風に能力を発揮すれば良いのか、わたしにはちっとも理解できていなかった。
 もちろん理解するための努力はしていたけど、『勉強』だと思うと、物凄く肩肘張っちゃうし、日常に転がっている実践機会に気づきづらい。


「それでね、姫様。アダルフォったらこう見えて、とてもブラコンなのですよ?」


 今だってシルビアは、わたしとの数少ない共通点を探りつつ、話題を広げてくれている。わたしにとって日常のあらゆることが、勉強の場なんだって気づかされた。


「アダルフォには兄弟が居るの?」


 わたしの問い掛けに、シルビアはそっとアダルフォに目配せをする。シルビアは当然答えを知っているけど、答えるつもりはないらしい。


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