実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
(恋する男ってこんな顔をするものなのね)


 親し気に会話を交わす二人はお似合いで、何だかとても微笑ましい。こちらまで温かい気持ちになってくる。


(いつか、二人の恋を後押ししてあげられると良いなぁ)


 密かにそう思いつつ、わたしは微笑した。



「――――――楽しそうですね、姫様。僕も姫様とお茶をご一緒したいなぁ」


 その時、聞きなれない声がわたしを呼んだ。顔を上げると、部屋の入り口に華やかな風貌の男性が立っている――――葬儀の日、おじいちゃんから紹介された公爵令息ランハートだ。

 アダルフォは即座に身を翻すと、眉間にグッと皺を寄せた。見れば彼の周りで侍女や騎士達が「困ります、ランハート様!」「姫様から許可を戴くまでお待ちいただかないと……」なんて話している。


「そんなにカリカリしなくても、陛下にはちゃんと許可を戴いているのに」


 ランハートはそう言って小さく首を傾げる。おじいちゃんからは何も聞いていないけど、多分彼の言うことは本当なのだろう。
 アダルフォたちに『大丈夫だ』と伝えようとしたその時、向かいの席から信じられないぐらい冷ややかな声音が響いた。


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