実はわたし、お姫様でした!〜平民王女ライラの婿探し〜
「だけどおじいちゃんは、わたしが単独で王位を継げるとは思っていない――――――そうだよね?」


 わたしの言葉に、おじいちゃんは驚くことも無く小さく頷く。予想通りの返答だけど、わたしの胸が小さく軋んだ。


「――――勘違いをするな。
そもそも、王位という鎖を一人で抱えることが不可能なのだ。優秀な配偶者が居て初めて、王は王で居られる。平民として育ってきたライラには尚更、配偶者の支えが必要だろう」

「そう……」


 王位を辞退するという道がない以上、おじいちゃんの言うことは正しい。わたし一人で立派な王様になれるわけがないし、優秀な配偶者が必要だということも理解できる。


「だけど――――そのためにあの二人を紹介したの?」

「二人……ランハートとバルデマーだな」


 おじいちゃんはそう言って小さく笑う。それからゆっくりと息を吐くと、徐にわたしを見つめた。


「そうだ。
ランハートは私の父王の血を引いているし、華やかな見た目と強かさを併せ持っている。要領が良いから、貴族たちとの腹の探り合いも上手くやってくれるだろう。
バルデマーは相当な野心家だ。優男に見えるが、切れ者だし反骨精神が旺盛だ。奴がお前の配偶者になれば、国は今とは違った方向に変わっていくだろう」

「そっか。――――――やっぱり王族は、結婚相手すらも自由に選べないのね」


 おじいちゃんの言葉にわたしはそっと俯く。
 好きになった人と結婚する――――そんな当たり前のことが、王族のわたしには許されない。既に分かっていたことだけど、改めて話を聞くと、虚しさが胸いっぱいに広がった。


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