だって、恋したいもん!

第六話  お礼に…






CDショップの前に自転車を停めてカギをかけた。

店内に入り洋楽のコーナーへ行く。


あれ?

Rattて曲名なの?アーティスト名?


とりあえずアーティスト名で探してみようかなぁ…


理佐「Rはどこかなぁ…」


Aから順番に見ていきRまでたどり着くと、


理佐「あ、あったあった!」

理佐「えーとぉ…2枚あるなぁ…」


理佐「どっちがあの曲入ってるんだろ?」


ジャケットを見ても曲名を見てもよくわからない…

しばらく眺めていたがわからなくて、

どっちも3000円以上するので両方買うにはおこづかいが足りない…


理佐「どっちがいいのかなぁ…」

理佐「てか、これで合ってるのかなぁ?」

理佐「もし『ラット』て曲名だったらこれじゃないし…」



もうかれこれ15分ほどは2枚のCDを持ったまま悩んでいたと思う。


すると後ろから…


「黒い服のほうがファーストだよ」

と、話しかけられた。

店員さんかな?と思い私は返事をしながら…


理佐「あ、そうなんですか…」

と、振り返ると…



理佐「えぇっ!!!!」


そこにはギターケースを肩にかけた彼が立っていた!!



義雄「あ、ごめん…びっくりさせちゃった?」

理佐「え、あ…いえ…あのぉ………」

義雄「買うの?」

理佐「あ、いやぁ…迷って…るんです…けどぉ…」 
と、口ごもって言うと彼は…

義雄「オレ持ってるから貸してあげようか?」

と、言った。


理佐「え!? い、いいの?♪」

と、私が言うと… 


義雄「うん、両方持ってるしいいよ」

と、言ってくれた。


理佐「え♪ 嬉しい♪」

理佐「どうしたらいい?」

義雄「えっとぉ…音楽で一緒の………」

理佐「あ、私…理佐!渡邉理佐です!♪」

義雄「あ、渡邉…さんて言うんだ」

義雄「渡り廊下で本読んで…る…よね?」

理佐「あ、うん…」


理佐「え!? 何で知ってるの?」

義雄「今日も読んでたでしょ?」

義雄「本好きなの?」

理佐「うん…図書委員もやってるから…」

義雄「でもあそこじゃ軽音の音がうるさくない?」

理佐「あ、うん…大丈夫、入り込んでるから」

義雄「へぇ~、そうなんだ…」

義雄「オレ、活字読んでるとすぐ眠くなっちゃうよ」

理佐「それは読み慣れてないからじゃない?」

理佐「慣れて内容に興味が持てれば大丈夫だよ」

義雄「そうかなぁ~?」

理佐「あ、じゃあCDのお礼に私がお薦めの本貸してあげるね」

義雄「あ、ホントに? 嬉しいなぁ」

義雄「じゃあ明日学校に持って来るよ」

理佐「うん、私も持って来る」

義雄「じゃあ……放課後に渡り廊下のところで、てのはどう?」

理佐「あ、うん…それがいいかも♪」


義雄「じゃあオレそれの新譜予約してるからレジでもらってくる」

義雄「ちょっと待ってて」

と、言って彼はレジへ向かった。







第七話へつづく…











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