だって、恋したいもん!

第八十八話  嫁







西野くんの案内でコピーショップに着くと自転車を停めて二階へと上がった。


義雄「ここ一枚5円なんだよ♪安いだろ?♪」

由依「へぇ~、いいとこ知ってんね♪」

義雄「大学が近くにあるからね♪」

由依「こりゃしっかりものの旦那になるね」

義雄「え?いつの話だよ!笑」

由依「なかなか一歩踏み出す勇気のない嫁と、しっかりものの旦那か♪お似合いかもね?♪」

義雄「え? 何の話…?」

美波「だぁーかぁーらぁー、理佐のことでしょー!」

理佐「わーーーぁーーーーぃ!!」

義雄「え? 何で渡邉さん…?」

茜「おぃおぃ……」


店員「いらっしゃいませー」

義雄「あ、どこ使ったらいいですかー?」

店員「じゃあそちらの3番の機械でどうぞ」

店員「カウンターチェックしますねー」

義雄「えっと…何枚コピーするの?」

茜「『何枚?』じゃないよー!ほんと鈍いねー!笑」

義雄「え? 何の話…?」

理佐「わーー!もういいの、いいのー!」

理佐「えっとねぇ、えっとねぇ…私と由依と美波かな?」

理佐「茜とおぜちゃんは? いる?」

茜「あたしはいいよ」

尾関「あたしも大丈夫」

尾関「あ、でも歌詞のとこだけほしいかな」

理佐「じゃあ三枚ずつね」

と、彼に言い振り向いて小声で…

「ちょっと!!」

と、三人を睨んだけれど三人とも薄ら笑いを浮かべていた。


ダメだ…

もう完全に遊びにかかってるよ…



義雄「小池さんてタブ譜とか見方わかる?」

美波「え、何それ?」

義雄「えっとねぇ…ギターとベースはタブ譜てのがあって、普通の楽譜は五線でしょ?

で、それが弦の本数分あって…ベースは四線なんだよ。上が1弦、下が4弦ね。で数字は押さえるフレットが書いてあるんだよ。」

美波「へぇ~…」

義雄「だからこれだったら4弦、一番太い弦ね、その2番目のフレットを押さえるってわけ」

美波「へぇ~、じゃあ楽譜見てドレミとかわからなくても弾けるじゃん」

義雄「そうだよ、オレも楽譜読めないもん」

美波「え、そうなの?あんなに上手いのに?」

義雄「うん、ドレミぐらいならわかるけどそんなの見てるよりこっちのほうが手っ取り早いし」

美波「ふぅ~ん、じゃあこの通り弾けばいいんだね」

義雄「うん、あとはテープと聞きくらべてやれば細かい何分音符とかは感覚で出来るよ」

義雄「あ、でも小池さん吹奏楽部だから楽譜読めるじゃん」

美波「うん、でもベースのどこがどの音とかがわかんないから時間かかるなぁ~て思ってたから…」

美波「でもこれなら楽チンじゃん♪」

義雄「うん、楽器やってたならたぶんすぐ出来ると思うよ」

美波「ありがとー♪」


美波「あ…」

と、言って美波が思い出したようにこちらを向いた。

美波「ごめーん理佐ぁー…また西野くん独占しちゃったぁー」

理佐「えー、もぉーそんなの関係ないでしょ!」

美波「ほらぁ~西野くんが話しかけるから理佐拗ねちゃったじゃないー!」

義雄「………???」

美波「あたしの担当はかっちんなんだからー」

美波「ねぇ、かっちん?」

橋本「おぅ!任しとけ!!」

義雄「………??? 何なのお前ら…???」

全員「はぁー……ダメだこりゃ……」

理佐「ちょっとぉー!みんなで何遊んでんのぉー!!」

全員「わー!嫁が怒ったぁー!♪」


と、言って皆走って階段を降りていった…


義雄「何なんだ、あいつら……??」

理佐「もぉいいよぉ…ほっときましょ!」


と、言って二人でひたすらコピーをするのでありました。







第八十九話へつづく…











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