溺愛前提、俺様ドクターは純真秘書を捕らえ娶る


 出産後、母子共に健康で異常もなく、予定通り出産後六日で退院することができた。

 入院中は寝不足になればナースステーションで赤ん坊を預かってもらえたけれど、退院したらそうはいかない。

 夜間、授乳を数時間おきにしなくてはならない千尋は、必然的に寝不足の日々が続くだろう。

 初めての出産で体は疲労困憊なのに、それが回復する前に鞭を打って子育てをスタートしなくてはならない。だから寝かせてあげられる時には極力代わってあげようと心に決めている。

 今日からはふたりで協力して二人三脚で子育てをしていくのだ。


「よく寝てるな」

「はい。なかなか親孝行ですね」


 千尋はクスッと笑う。

 横からそっと抱き寄せて、腕の中で前髪に口付けを落とした。

 出産後、ますます千尋への愛しさが増している。

 母親として見せる新たな一面に惹かれ、彼女から目が離せない。

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