シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄

自分にあてがわれた部屋に戻る。

白磁色の三階建の洋館の最上階。バルコニーはお茶会もできそうなほどに広く、緑豊かなガーデンにもなってる。
わたしが住んでいたメゾネットアパートの面積より広いお部屋は、衣装部屋や寝室まで別になっている。
白を基調として上質なロココ風の調度品や絵画などで飾られ、シャンデリアがキラキラ輝いてる。

天蓋付きのベッドに身を投げると、ふうっとため息が漏れてしまう。

手にしたスマホの画面には、光輝からのメッセージが表示されていた。

“会いたい”ーーと。

ただ、それだけ。

(あんなに手ひどくフッて一ヶ月も放っておいたくせに…いまさら、なによ!)

今では、なんであんなにも好きだったのかわからないくらい、冷静に彼のことを考えることができる。

それもこれも、カイルのお陰だ。

この1ヶ月…カイルとの毎日はドキドキするけれど、彼の優しさに包まれて安心して過ごすことができた。

屋敷のみんなとも打ち解けて…できる範囲で仕事をお手伝いしたりしてる。やっぱり働かざる者食うべからずだものね。

わたしが取った資格を活かせるのも嬉しかった。

< 32 / 53 >

この作品をシェア

pagetop