【続】酔いしれる情緒
ずっと一緒にいたいんです。


「………うん。ちょっと熱っぽくて。」

「……?」



誰かの話し声でフッと目を覚ました。


薄らと目を開けると、まだ日が昇っていないのか、部屋の中は薄暗い。



「は、る……?」



朧気な意識のまま、彼の名前を呼んだ。


目を覚ましたばかりでぼやける視界。


微かに見えるのは、彼の後ろ姿。



「───じゃあ、そういうことだから。」



また話し声が聞こえてくると、背を向けていた春がこっちを向いた。



「起こしちゃった?」

「ん………」

「ごめんね。まだ起きる時間じゃないから、寝てて大丈夫だよ」

「春、は…?」

「ん?」

「もう…行く、の……?」



これから仕事なんだと思った。

だからこんなにも早く起きているんだって。


まだ眠いけど、起きれてよかった。

今日は「いってらっしゃい」って言える。



「っ、…え?」



けど、身体を起こそうとすれば肩をトンっと押された事により、またベッドに倒れてしまう私。



「まだ朝じゃない。」

「分かってるけど……」

「ほら。寝よう寝よう」



春はそのまま私のいる布団の中に入ってくる。


あれ……仕事は?

仕事だから、起きてたんじゃないの?


そう疑問に思っても、眠気には勝てなくて。


ちゃんと働いてくれない頭を横にいる春に撫でられながら、私は再び夢の中へ。



(あったかい…)



あたたかくて、心地よくて

春の腕に包み込まれると私はスグに眠ってしまうのだ。
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