純心と屈折と/少年に心を掴まれた少年
その2



「うん、オレもさ。キミのこと一目見て特別な気持ちになったんだ。ユウト以外でああいうことはできないよ、絶対…」


律也は、自分のこの言葉を聞いて、ユウトがどこか安堵感を宿した様子を敏感に察した。


”口ではこう言ったけど、オレ、ユウトとはちょっと違うかも…”


これが彼の正直な思いだったのだ。
何しろ、新入生健診の直前には、校舎内のトイレで同級男子生徒のハダカを想像しての自慰行為を抑えられなかったのだ。


”確かに、男とセックスってのはあり得ないよ。でも、普通に異性ともそういった性交渉のセオリー以外のところで性欲が駆り立てられてるのってのはあるだろ。なら、オレはこの後も…❓やっぱり、オレ、フツーじゃないのかも…”


彼はかなり冷静に自身の性衝動を捉えていた。


”それなら…、純粋に心を惹かれた同級生の同性であるユウトには、ちゃんと言わなきゃいけないことがある…。嫌われるかもしれないけど、やっぱり勇気を出さないと…”


彼は決心した。


***



「ユウト…。でもさ、オレ…、やっぱ、今日のコトを思いだして、一人でヤルことはあると思う。その時の欲求って、女の子とのエッチなことを思い浮かべるとかじゃあないだろうし、オレの方は少し、キミとは違うかもしれない。やはり、ああいうことの相手であるユウトには、最初に言っとくよ。正直に…」


「うん…。オレだってさっきのコーフンした気持ち思いだしてするかもしれないしね。そんなとこで、これからは友達としてさ…」


律也はホッとしたような、何とも言えないため息をついて、やや苦笑いだった。


このあと、二人はケータイの番号とメルアドを控え合って、その日は3時半過ぎに児童館を出たところで別れた。
すでに雨はすっかり上がっていた…。
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