純心と屈折と/少年に心を掴まれた少年
その3



その後の河合律也と青島ユウトは、隣のクラスの同級生としてそれ以上でも以下でもない関係‥、ではあった。
まだラインがない時代だったので、たまにメールのやり取りはしたが、ケータイでしょっちゅう話をするとかはなかった。


要するに、クラスが違うということで、顔を合わせれば挨拶ないしは立ち話くらいはするといった仲で留まっていたのだ。


しかし、律也は児童館のトイレでユウトという同性同士で、ともに全裸になり、性的オーガズムを貪った衝撃のナマ生感はあたまとカラダに刻印され、実際、この時をフラッシュバックさせての自慰行為は日常化していた。
で…、むしろ、あの時をもう一度という性衝動は、日に日に高まるという現実を突き付けられ、ある種の屈折意識に占領されていた。


ただ厳密には、ユウトとの同性同士の非挿入の性的行為ということではなく、自分の局部を同性のそれと刺激し合わせて射精するという性衝動からであって、好意を抱く同性ではあっても、ユウト自体を性対象に限ったものではなかった。


それでも、こと律也においては、ユウトも自分との行為をフラッシュバックさせて自分と同じことはしていると予想してはいても、やはり、”自分は違う…、少しフツーじゃない”とは自認していた。


ああいった、同性間で射精まで供に興じるといったアブノーマルと言える行為は、あくまで、ユウトを純真な気持ちで好きになった延長線上でという理屈に矛盾が生じている自覚からくるものだった。


”それが、ユウトと自分の違いだ。そしてその違いって、とても大きい気がする…”


この律也の自覚とユウトに対しての自虐感は、性に目覚めて間もない彼に、自己の駆られる性衝動に”屈折”を影を落としたのかもしれない…。



< 20 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop