純心と屈折と/少年に心を掴まれた少年
その4


そして…。
”あれ”から1年半が過ぎた…。


2年に進級した河合律也と青島ユウトは、再び一緒のクラスになることはなった。
ということで、律也とユウトの惹かれあう同級生の互いのスタンスはずっと変わりなく、二人の距離間もあの児童館以来、そのままだった。


しかし、メンタル的には、律也の屈折した性衝動は時とともに、ある種の進化を伴って、多感な思春期に”通常”から外れたレールに向かう自分を拒めないでいた。


そのリトマス試験紙だったのが、要は異性に対する向きあい方だった。


***


さすがに2年に進学して、しっかり陰毛も生えそろうと、”性的諸々”が他の同級生に劣っていないかとか…。
健全な他の同年代とは違うのではないかという、不安や焦りは誰にでもついて回るものである。


それが律也のケースは、かなり早期にその、”人と違う””自分は異常では?”といった、性的な内面においての不安感を抱かせた。
そして、彼はその不安にコンプレックスを伴い、屈折した性衝動がどこに行きつくかをおぼろげにイメージできるようになっていたのだ。


つまりは、自分はフツーに女のひとを愛せなかったり、通常のセックスができないのではないかという、中長期的な怖れに集約された訳で…。


***


そんな律也は…、この頃になると、しきりに考えるようになった。


”早く好きな子を見つけて、年相応の行為をひとつずつクリアしていかないと…”


尽きるところ、彼は女性とセックスして女性をイカせ、男性である自分はちゃんと絶頂を遂げ、射精できるのだろうかと…。
中学2年の初秋…、河合律也の焦燥感はまさに深刻なレベルに達していたのだった…。

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