純心と屈折と/少年に心を掴まれた少年
その8


チヅルの確信犯的な挑発発言は、律也の心裏を直撃した。
そして彼は、即反応する。


「僕はユウトとはトモダチなんですよ!ヨーコさんとの仲をジャマなんかするわけないでしょ⁉」


彼はもろ、ムキになって、やや大きな声でそう訴えた。
ユウトだけでなく、カノジョのヨーコにも…。
そして、隣でほぼ体がくっついていた年上のお姉さんである、チヅルにもであった。


「それ、きれいごとじゃん?ユウト、ヨーコのカダラを触りながら…、ああ、これ、愛撫ね。それ中もだよ…、アンタから視線外してないんだからねー。うふふ…、それってさ、ユウトは同性の同級生のさ、河合律也が性的に興奮してる対象者になってるってことだわ。…ヨーコ、いいの?アンタ、ユウトのエッチのさ、噛ませ犬になってるんじゃないのー?アハハハ…」


「うっせーよ、チヅル‼アンタこそ、律也の気を自分に向けてみなさいよ!その子も、アンタの体触っても、ココロとアタマはユウトってんじゃ、チヅル自慢のエロエロボディーも律也には噛ませ犬だっての!」


早熟極まる女子高生二人は、なんとも実直すぎる喧々諤々をおおっぴらでぶち上げ、年下のユウトと律也は、実際エロいお姉さんたちに圧倒されていた。


***


だが、しかし…。
その間も、ユウトとヨーコはねっとりとイチャイチャして抱き合っており、二人が濃厚なディープキスを交わすと、その場は、まだそれモードに入っていない律也とチヅルをくっきりと浮かび上がらせる絵柄となったのだ。


それを見逃さなかったヨーコは、一旦濃圧な唇をユウトから離すと、チヅルにこう言い放った。


「チヅル…、どうしたのよ?律也、アンタのカラダに触れてもくれないじゃん?アハハ…、その子、ひょっとして、チヅルより私の方に興味あるのかもよ?」


ヨーコのけしかけに、チヅルはまんまと乗った。


「律也君!ユウトのココロとカダラをモノにしたとのたまう”カレのカノジョ”はそう言ってるけど…。そうなの?どうなの?…違うなら、オトコなんだから、そこでもじもじはやめて!さー、どうなのよ⁉」


すると…。
律也はユウトに引き付けられていたその視線を、隣のチヅルに向け、まるでイノシシが突進するように、彼女のカラダに抱き着いた…・
”わー!”というヤケ声を伴って…。


「律也…💖」


チヅルは自分のカラダに覆いかぶさった律也の半身を受け止めると、彼の頭を両の手で抱え込み、間髪入れず唇をブチュッと重ねた。




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