結ばれない二人
あなたに触れられてどきどきしている私とは全く違うあなたの様子。
何もなかったように、あなたはまた視線を扉の方に戻して、すたすたと私の手をひいて歩いていく。

エレベーターを降りてすぐの部屋の前であなたが足を止めて、ポケットからカードキーを出す。
扉を開けると、私を先に部屋の中に入れる。

繋いでいる手をグイっとあげて私が靴を脱ぐときにバランスを崩さないようにまでしてくれる。

私が靴を脱ぐと、あなたは私から手を離す。

「じゃ、何かあったらすぐ連絡しろよ？」
「・・・うん」
私の部屋のカードキーを当たり前のように自分のポケットに入れてあなたは私の部屋の扉を開けて出ていく。



閉められた無機質な玄関の扉を見つめながら、私の瞳から思わず我慢していた涙が溢れた。
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