必ず、まもると決めたから。

ーー俺にしておけよ。


待って、それは漫画のセリフでよくあるやつだ。

少女漫画では欠かせないワードだし、胸きゅんする場面だ。いつか、自分が言われたらーーそんな妄想をしながら何度も読み返す場面。


落ち着け、落ち着け、私。


戸惑う私を置いてきぼりにして先を進む田中くんを追い掛け、横に並ぶ。


「…あの、田中くん。今のって、どういう意味?」


「俺が教えるってこと」


正面を向いたまま田中くんは言った。


「教えてくれるの?」


「ん」


「なんで?いや、嬉しいんだけど、私、物分かり悪いし、大変だと思うよ」


「青山がいつも必死に授業を受けていること、知ってるから」


「……」


私のこと、見ててくれたんだ。

クラスのことどころか黒板すら見ていないと思っていたのに、気付いていたんだ。

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