必ず、まもると決めたから。

永井 大悟に私がぶつかったせいで、田中くんが傷ついてしまった。自業自得なのだから私のことなど放っておいてくれれば、田中くんが傷つくことはなかったのに…。


「おまえは授業に出ろ」


すっかり桜が散ってしまった通学路を歩く田中くんに続く。



「田中くんのことが心配で、授業どころじゃないよ」


「…大丈夫だよ、ただ鼻血出ただけだし」


「……私のために、ごめんなさい」


学校を一歩外に出れば成立する会話に、なぜだがとても安心する。


「そこは、ありがとうにしてくれる?」


「ありがとう」


「ん」


横に並び、田中くんの鼻にハンカチを押し当てる。



「使って。家に帰るにしても、その顔じゃ目立つよ?」


「……おまえは戻れよ」


「嫌です」


ハンカチを受け取った田中くんは痛そうに鼻の周りを拭いた。

今日は白ではなく黒いハンカチを持ってくるべきだったな。


ハンカチに付いた鮮血が痛々しい。

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