星と月と恋の話
「大根って確か、豚汁に入れるんですよね?」

「うん」

「豚汁の具に大根まるまる一本は、さすがに多過ぎるので…。こちらの、半分にカットした方を買うと良いですよ」

あ、本当だ。半分の奴売ってる。

「じゃあ半分のにしよう…」

と、思ったものの。

…。

「上半身と下半身、どっちが良いのかな?」

葉っぱのついてた上部分と、先端の下部分。

どっちを選ぶと美味しいとか、ある?

どっちも一緒?

「上部分は水分が多くて甘めで、下部分は辛みが強いんです」

「そうなんだ…。じゃあ上の方にした方が良いのかな」

「いえ、今回は豚汁に使うので、下部分の方が良いかと。水分が少ない分、味が染み込みやすくて汁物向きなんです」

ほー。勉強になる〜。

「まぁ、好みもありますけもどね」

とか言いながら、結月君はカットした方ではなく、まるまる一本の大根を手に取って、かごに入れた。

…。

「結月君はまるまる一本買うのね」

「え?あぁ、はい…。半分のは割高ですし…」

「一本も買って、何に使うの?」

「あれば何にでも使えますよ。味噌汁の具にしたり、ふろふき大根にしたり、何なら大根おろしにして冷ややっこに乗せたら美味しいです」

あー、はいはい。飯テロ飯テロ。

涎出そう。

料理の上手な人は、材料一つで何でも考えちゃうんだなぁ。

「それじゃあ次は…里芋か。里芋、里芋…」

私は、豚汁に入れる里芋を探して、野菜売り場をうろうろした。

あっちはじゃがいも…こっちはさつまいも…。あれは山芋か。

お、あれか?と思って近づいたら、それはレンコンだった。

里芋は何処だ。

「里芋が見つかんないなぁ…」

…よし、こうなったら。

「結月君、結月君」

「あ、はい何ですか?」

ごめんね。厳しい目で、グラム売りしてるかぼちゃの吟味をしてるところに。

「里芋って何処に売ってるのか、知ってる?」
 
「里芋ですか…。見つからなかったですか?」

「うん。ざっと見たんだけど…」

里芋…らしきものが見当たらないんだけど。

もしかして、ここ…。

「そうですか…。このスーパーの野菜売り場では、里芋は売ってるときと売ってないときがあるんですよね」

やっぱり。

今日は売ってない日なのか。

そんな日ってあるんだ…と思ったけど。

生鮮食品なら、いつでも何処でも、常日取り揃えてます、って訳にはいかないよね。

ましてや今、夕方だもんね。

朝方には入荷してても、この時間には売り切れてるってこともあるだろうし…。
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