星と月と恋の話
三珠クンと一緒に下校中。

うぅ、何を話して良いのか分からない。

私と共通する話題なんてあるのかなぁ、三珠クン…。

でも、ずっと黙ってるのも気まずい。

コクったのは私なんだから、私の方から積極的に話しかけないと不自然だよね?

…あ、そうだ。

「ねぇ、EINL交換しようよ」

と、私は持ちかけた。

そうそう、それだよ。

やっぱり付き合い始めたんだから、連絡先くらい交換してないとね。

三ヶ月の付き合いとはいえ、デートすることになるなら、EINLでのやり取りは必須。

今のうちに交換しておけば、

「あ、済みません…。僕、EINLやってないんです」

「えぇっ」

と、私は思わず絶句してしまった。

…嘘でしょ?

今時、EINLやってない人なんていたの?

…いたよ。ここに。

「メールアドレスなら、持ってますから」

そう言って、三珠クンは鞄の中から、二つ折りの携帯電話を取り出した。

二つ折りの携帯電話なんて、何年ぶりに見ただろう。

私のおばあちゃんですら、シニア向けのスマートフォンを持っているというのに。

今時の高校生が、二つ折りの携帯電話って。

改めて、私はとんでもない人と付き合ってしまったんだと思った。

まさか、スマホを持ってない上に、EINLすらやってないとは。

メールでのやり取りなんて、通販サイトでしか使わないよ。

「そ、そうなんだ…。じゃあ、メルアド交換しよっか…」

私は何とか、笑顔を取り繕って言った。

メールの打ち方なんて、私覚えてたかな…。自信ないよ…。

一応、メルアドの交換はしたけど。

これで本当にやり取り出来るのか、早くも不安が募る。

じゃあ何?三珠クンって…。

「Twittersとかもやってないの?インステは?」

「あ、はい…やってないです」

嘘でしょ。

SNS全滅?今時の高校生が?

むしろ、何ならやってるの?

一体何世代前の高校生なの。遅れてるにも程があるでしょ。

そういう方針の家なのかなぁ?どっちにしても、普通の感覚じゃないよね…。
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