星と月と恋の話
とは、思ってみたものの。

…確か正樹の「スケジュール表」によれば。

週3で、一緒に帰らなきゃならないんだよね?

しかも、月に2回は週末デートもしなきゃならないって。

…正樹の奴、とんでもない条件をつけてくれちゃって。

一生恨んでやる。

学校に行ってみたら、三珠クンの方から話しかけてくるかなと思ったけど。

付き合うとは言ったものの、いきなりそこまで馴れ馴れしくするつもりはないようで。

三珠クンの方から、私に話しかけてくることはなかった。

正直、有り難かった。

やっぱり距離感って大事だよ。私の場合、特にね。

出来るだけ、距離は遠く保っていて欲しい。

でも、週3で一緒に下校しなければならない事実に変わりはない。

向こうから話しかけてこないなら、こっちから行かなきゃ。

仕方がないので、私は放課後、自分から三珠クンに声をかけた。

「ねぇ、三珠クン…」

「…はい」

…一応、仮にも彼女が声をかけてきたっていうのに。

反応うっすいなぁ…。

まぁ、飛びついてこられても困るけど。

「一緒に帰ろ」

「え…一緒に?」

「うん。それくらい良いでしょ?」

付き合って翌日なら、そんなものでしょ。

まずは、放課後デートって奴。

デートと言っても、一緒に帰るだけだけど。

「…それは…良いですけど…」

…けど、何?

何なの、その渋った返事。

一緒に帰る気もないって?

「途中までしか一緒に帰れないんですけど、それでも良いですか?」

途中まで?

何でかは知らないけど…まぁ良いか。

途中までだろうと、一緒に帰るという目的は果たしてるんだし。

丁度良い。

「良いよ、帰ろう」

「はい、分かりました」

私は三珠クンと一緒に、教室を出た。

皆、こっち見ないで。これただの罰ゲームだから。

事情を知らないクラスメイトに、私が本気で三珠クンと付き合ってると思われるのは嫌だった。

「本気じゃないから!」って声を大にして言いたいけど、それが三珠クンの耳に入ったら厄介なことになるし。

結局、何も言えないのが悔しかった。
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