星と月と恋の話
「じゃ、他に何処でデートするの?」

「…何処だろ…。向こうから誘ってこないから、何とも…」

いっそ、向こうから誘ってくれる方が諦めもつくんだけど。

「行くところが決まってないなら、映画館行ったらどう?」

と、真菜が提案した。

映画館?

「何で映画館?重くない…?」

定番のデートスポットじゃん。

そういうところって、もっと本命の人と行くものだと思ってたけど。

「確かに重いかもしれないけど、話題がない相手とならアリかもよ」

「え、何で?」

「だって、映画観てる間は喋らなくて良いし。映画が終わった後は、観た映画の感想を話し合えば良いんだし。話題作りに困ることはないよ」

と、真菜が言った。

成程、真菜頭良い。

確かにその通りだ。

「良いかも、映画館。誘ってみようかな」

「うん、それが良いよ」

「何の映画観るの?」

あ、それは考えないとね。

でも、心配要らないよ。

「恋愛映画以外なら、何でも良いや」

「あはは、三珠クンと恋愛映画はキツいもんね〜」

笑い事じゃないってば。

にしても、結月君とデート…か。

いくら行き先が映画館で、真菜の言う通り話題には困らないとはいえ。

あの結月君とデートに行く、と考えただけで、うんざりしてくる…。

やっぱり、こっちから持ちかけないと駄目だよね…。
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