星と月と恋の話
…何だか。

…びっくりした。

隆盛があんなに苛ついてるの、初めて見たかも。

「…保護者か何かなんですかね?」

教室に残った結月君が、ポツリと一言。

い、いや…そういう訳じゃなくて…。

「心配してくれてたんだよ、きっと…」

隆盛にまで心配かけて、悪いことをしてしまった。

私の責任だ。今回のことは。

結月君も、隆盛も、誰も悪くない。

私が勝手に暴走してしまっただけで…。

「最低だと言われても…。あの人の最低の基準が分かりませんね」

「気にしないで。隆盛は…私を心配してくれてるだけだよ」

「隆盛隆盛って言いますけど、僕だって唯華さんのこと心配してたんですからね。そこは忘れないでください」

「うん、ごめんね。ありがとう…」

…ん?

そうだ、ちょっと待って。

一つ確認しておきたいことがある。

「…ねぇ、結月君」

「何ですか?」

「君、一体いつから、私を下の名前で呼んでるの?」

何だか、凄くナチュラルに呼び方が変わってる気がするんだけど。

一体いつの間に…?

「あなたが、空の上でうさぎと一緒にソーラン節を踊ってる頃ですかね…?」

そ、そうだったの?

出来れば、私の意識がはっきりしてるときに変えて欲しかったよ。

「嫌なら、元に戻します」

「ううん、そのままで良いよ」

親密度が深まったみたいで、良い傾向じゃない。

何だか照れ臭いわね。

「下の名前で呼ぶの、あんなに恥ずかしがってたのに。もう良いの?」

「えぇ。そんなに遠慮する必要のある相手じゃないと、最近分かり始めたので」

「…」

…それは…フランクになったのだと解釈して良いの?

ねぇ。そういう解釈で良いんだよね?

うん、そういうことだと思おう。
< 390 / 458 >

この作品をシェア

pagetop