星と月と恋の話
「春休み?課題がない?やったー遊ぼー」の思考になる私と。

「春休みか。課題もないし、復習と予習に費やそう」の思考になる結月君。

この落差よ。

「結月君…。君は偉い人だよ…」

『そ、そうですか…?』

「偉いのは良いけど、息抜きも必要だと思うのよ、私は」

普段息抜きしかしてないからね、私は。

息抜きの重要性は、よーく知ってる。

「そんな訳で、今日一緒に遊ばない?」

『…何がそんな訳なんですか?』

「春休み入ってから、一回も遊んでないじゃん。遊ぼ」

春休みは短いのよ。

ついでに言うと、青春だって短いのよ?

勉強も良いけど、遊ぶ方も頑張らなきゃ。

「それとも、この後何か予定があるの?」

『予定?そうですね…。家事が終わったら、母の手内職を手伝おうかと思ってたんですけど…』

わー。えらーい。

結月君に断られたら、ヒトカラでも行こうかな、なんて考えてた私とは大違い。

『まぁ、それは夜でも出来るので。遊んでも良いですよ』

お、やったー。

「じゃあさ、結月君。今日はうちに遊びに来てよ」

『えっ』

とうとう、お互いの家でお家デートを経験しよう。

『唯華さんの家、ですか…?』

「嫌?」

『え、いや…。嫌ではないですけど…』

「じゃあ、うちに来てよ」

『…』

と、何故か無言になる結月君。

…どうしたの。何で黙ってるの?

何か気になることでも?

すると、結月君はおもむろに、ポツリと聞いた。

『…僕、殴られるんですかね?』

「はい?」

『殴られても良いですけど、避けますよ』

何?どういうこと?

「何で殴られるの?誰に?」

『え?唯華さんのお父さんに…。貴様のような男に娘はやらん!的な展開で…』

あぁ、そういう心配してたの?

漫画じゃないんだから、そんな心配は要らないわよ。

「大丈夫よ。今日、家に誰もいないから」

両親共に、今日はお仕事で留守だ。

でなきゃ呼ばないわよ。

『そうですか…。それはそれで不健全な気がしますけど…』

「来てくれるでしょ?」

『分かりました。行きます』

よし、そう来なくっちゃ。

「じゃあ、学校で待ち合わせで良い?学校で合流して、うちまで案内するわ」

『はい。お願いします』

決まりね。

じゃあ今日は、結月君と私の家でデートってことで。
< 408 / 458 >

この作品をシェア

pagetop