星と月と恋の話
いやはや。去年の今頃が懐かしい。

去年のこの日、私は、君と同じクラスであることにさえ気づいてなかったよ。

同じ教室の中に、君がいることを知らなかった。

でも今年は、同じ教室に君がいるかどうかが、一番の関心事で。

昨日の夜、どうか同じクラスにしてくださいって、散々神様に祈ってたんだから。

人生って分からないものだなぁ。

多分君にとっても、同じだったと信じてるよ。

「今年も同じクラスだって。宜しくね、結月君」

「こちらこそ。宜しくお願いします」

今年も一年、結月君と同じクラスだって。

最高のクラス替えだね。

「私と同じクラスで、安心したでしょ?」

「いえ、僕は別に…どっちでも良いと思ってましたから」

「何〜?この嘘つきめ」

本当は、内心めちゃくちゃホッとしてる癖に。

正直に言え。この。

大体、いつもより登校する時間が早いじゃないの。

さてはクラス替えが気になって、早めに来たな?

いや、それは私も同じだけど。

ってか、大概のクラスメイトはそうだと思うよ。

今日というこの日に、遅刻ギリギリに来る人はいない。

「同じクラスだったら良いな〜と思ってた人、皆同じクラスで安心した〜!」

結月君も一緒でしょ?

真菜と海咲と、それから正樹と隆盛も同じクラス。

この上ないクラス替えだよ。

「良かったですね。…その分何だか、代わり映えしない気もしますけど…」

それは言わないお約束でしょ。

確かに、ちょっと代わり映えしないなぁとは思うけど。

すると。

「良かったぁ、今年も瑠璃華さんと一緒で…」

「奏さん、昨年度は私の『人間交流プログラム』の為に、何かとお世話になりました。今年度も何卒宜しくお願いします」

「あっ、どうも。こちらこそ…って、何?この年賀状みたいなやり取り…?」

うん?この声は…。

何処かで聞いた声だと思って、振り向くと。

去年までは、同じ教室にいなかったクラスメイトがいた。

「あながち、代わり映えのしないメンバーばかりじゃないみたいだね?」

「そうみたいですね」

あれは去年Aクラスにいた転入生と、そのお友達。

いつぞやゲームセンターでお世話になった久露花さんと、車椅子の彼じゃないか。
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