星と月と恋の話
「一体どうしたんだ…。今日は…?」

「性格が悪いにも程がある…。お願いです、加賀宮さん。僕のこの、ねじ曲がった性根を叩き直してください」

「…誰かに言われたのか?性格が悪いと…」

誰にも言われてない。自分でそう思ってるだけ。

でも、多分唯華さんは思ってるんじゃないか。

「何コイツ。性格悪っ」って。

きっとそう。そうに違いない。

ここ数日、僕のことを避けているのもそのせいなのだろう。

性格のひねくれた僕に、ほとほと愛想を尽かした可能性が大。

そうされても仕方がないと思うほどには、自分の性格が悪い自覚がある。

「だって、ひねくれてるでしょ?僕」

「…自分で自分をひねくれていると言えるほど自覚があるなら、大したことないんじゃないか?」

本当にひねくれてる奴は、自分がひねくれてる自覚もないだろうって?

そうかもしれないけど。でもそうじゃない。

そうじゃないんですよ。

「それから、お前は…ひねくれてるんじゃなくて、ただ素直になれないだけだと思うが…」

それをひねくれてるって言うんでしょうよ。

「忘れたい…。言ってしまった失言を、なかったことにしたい…」

そんな魔法の道具はないものか。

我ながら、あれは酷い八つ当たりだった。

思い出しても、自分の愚かさに自分を殴りたくなる。

今からでも遅くないから、自分を殴ろうか?

いや、いっそ屋根から放り投げて欲しいんですよね。

全てを忘れられそうな気がする。

何であんなことを言ってしまったのか。

かつて自分がされた罰ゲームと同じことを、別のクラスメイトが目の前でされてて。

それを見て、頭に血が上ったのは確かだ。

馬鹿共が、また懲りずに馬鹿なことをしてると思った。

そしてその馬鹿共は、唯華さんが「同じクラスになれた」と喜んでいた、唯華さんの親友だった。

それでつい。八つ当たり的に。唯華さんを罵倒してしまった。

何であんなこと言ってしまったのか。

別に、彼女が罰ゲームをやった訳じゃないだろ。

ついでに言うと唯華さんは、あの湯野さんとかいう馬鹿なクラスメイトを、止めようとしていたのだ。

馬鹿なことするな、って。

それなのに、どうして僕は唯華さんにあんな、つっけんどんな態度を取ってしまったのか。

もう、完全に八つ当たり。

涙が出てきそうなくらい、自業自得である。
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