星と月と恋の話
…そもそも。

私だけ差し入れもらって、私だけ温かいもの食べるという、この状況。

これもなかなかに気まずいよ。

真菜達に悪気がないのは分かってるけど…。でもやっぱり気まずい。

ど、どうしよう?

え…えーと…あ、そうだ。

「結月君、折角お昼なんだし、ちょっと抜けてきたらどう?」

と、私は提案した。

我ながら良い提案。

「お昼ご飯買っておいでよ。ここは私が見てるから」

そうだよ。それが良い。

そうすれば、結月君も少しは文化祭を楽しめるし、お昼ご飯も買ってこられ、

「いえ、僕は結構です」

…何で?

会心の提案のつもりだったのに、呆気なく却下された。

「ど、どうして?だって、お昼ご飯…」 

「お弁当持ってきてるので」

君はこんな日でも、お弁当作りをやめないんだね。

偉過ぎる。

文化祭の日くらい、お弁当以外のもの食べたい、とは思わないのかな…?

そりゃまぁ、結月君は料理が上手だから。

そこらの素人が屋台で作る食べ物よりも、自分で作った方が美味しいのかもしれない。

それでも、だよ。

周りにこんな、屋台がたくさん出てるのに。

その中でやっぱり自作のお弁当を食べようと思う、その精神は何なんだ。

…プライド?

何にせよ、私には理解不能。

「じ、じゃあ…ちょっと分けてあげるね。一緒に食べよ」

私は、さっき真菜達が持ってきてくれた差し入れの袋を掲げて、結月君にそう言った。

とにかく、一人で温かいものを、結月君の前で食べるのはあまりに気まずかった。

しかし。

「大丈夫ですよ。それは星ちゃんさんがもらったものですから、どうぞ遠慮なく食べてください」

にこりと、笑顔で。

結月君は丁寧に辞退した。

…それが出来たら良いんだけどね。

そんな気まずいことが平気で出来るほど、私は図太くないんだよ…。

…でも。

ここまできっぱりと拒否されたら、他にどう勧めたら良いのか分からなかった。
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