星と月と恋の話
その後私は、真菜と海咲に連れられて、宣言通り軽音部のライブを観に行った。

それだけじゃなくて、真菜達に勧められるままに。

お化け屋敷とか脱出ゲームとか、やたら時間のかかるアトラクションに参加し。

かと思えば、行列の出来てるフレンチトーストの屋台に並んで、たっぷり時間をかけてフレンチトーストを買いに行ったり。

何だか、わざとゆっくりしてるんじゃないかとさえ思った。

正直、私は内心焦っていた。

早く戻らないと。

今頃結月君、一人で作業してるんだから。

「じゃあ、次は…あ、そうだ。Aクラスの喫茶店にでも入らない?」

と、真菜が提案した。

喫茶店なんて。

入ったら、絶対ぺちゃくちゃお喋りに夢中で、無駄に時間を潰すじゃない。

「私、そろそろ戻るわ」

私はすかさずそう言った。

このままズルズル流されて、喫茶店にまで入っちゃったら。

本当に、戻る頃には作業が終わっちゃってる。

それなのに。

「え?何で?」

と、真菜と海咲は首を傾げた。

何でって…。

二人はもう、今日やるべきことは終わったから、好きなだけ遊んでて良いかもしれないけど…。

私は…私と結月君の仕事は、まだ終わってないんだよ。

むしろ、今が一番大変なときなの。

「結月君手伝わなきゃ。だから戻る」

「えぇ、良いじゃん別に」

何が良いのよ。

「そうそう、三珠クンがやってくれるって言ってるんだからさぁ、任せておきなよ」

「…そんな訳にはいかないわよ」

ただでさえアンケート用紙を作る段階から、ほぼ結月君に任せっぱなしなのに。

集計作業くらいは、ちゃんと付き合わなきゃ。

それだって、こうして私だけサボってるんだし。

さすがにこれ以上は無理。

「私、戻るわ」

「ふーん…」

「真面目だねー、星ちゃん…」

二人は意外そうな顔で私を見ていた。

私が真面目とは。面白い冗談だ。

私が真面目なら、その真面目な仕事を、当たり前のようにこなしている結月君はどうなるのよ。

結月君が真面目なんじゃない。

これまでの私が、ずっと怠惰だったのよ。




…空き教室に戻る途中。

「…あっ」

私は一つ気がついて、悪いと思いながら、ほんの少し寄り道をした。
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