あやかし学校
そんなこともあるのだと驚きだ。


「今回は料理人になれた男性の嬉しさとか、楽しかった学生時代の思い出のせいじゃないかな」


「じゃあ、またあの人たちが怪異として現れるのか?」


銀太の言葉に不安になって質問すると、金子が左右に首を振った。


「それは大丈夫。現れたとしてもひょうたんの中だから」


そう言って銀太のカバンについているひょうたんを指先で揺らした。


「そっか。そうだよね」


それなら安心だとホッと胸をなでおろす。


どれだけ暴れたてひょうたんの中なら生徒たちが傷つくことはない。


「それより、早く行ってやらなくていいのか」


銀太に言われて視線を上げると、そこにはふくれっ面で僕を待つ佳苗の姿があった。


「ごめん。じゃあ、お先に!」


僕は慌てて靴を履き替えると、佳苗のもとへと走ったのだった。
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