素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「……俺の前で男と二人にならないで。俺の前じゃなくてもダメだけど」

 そのどこかで聞いたような台詞にアリスはふっと笑ってしまった。

「ごめんね。ゴトフリーにはすごく嫌なことだったんだね」

「……うん。ブレンダンは特に……」

 そのままぎこちなく、項垂れてしまったゴトフリーのその蜂蜜色の髪を撫でて、アリスはぎゅっと厚い胸に抱きついた。

「確かにブレンダンさんはこの国でも有数のすごーく男前だとは思うけど、私が好みなのはゴトフリーなんだよ。だからあの飲み屋さんでも、ゴトフリーを選んだでしょう?」

「ん、そうだな。アリスはそうだったけど……でも……」

 言いにくそうにするその様子にアリスは一度顔を上げて首を傾げた。どこか、迷子になってしまった子供のような顔をしている。どうしたのだろうか、アリスはゆっくりと彼と交わした今までの会話を思い出して、引っかかった部分を尋ねた。

「……えっと、ブレンダンさんには、特に嫌ってこと?」

 ゴトフリーはゆっくりと頷いた。
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