素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 戸惑って自分を見下ろしたゴトフリーを上目遣いに見上げてアリスはキスをした。小鳥が啄むように何度か重ねると躊躇うように時間を置いて柔らかな舌が誘われるようにアリスの口内に滑り込んできた。深いキスはもちろんこの時初めて経験した。

 自分の口内を舌と一緒に吸い上げるとその後で交換するように流し込まれる唾液も彼のものだと思うと全然気持ち悪くなかった。こくんと何度も飲み込み、舌を擦り合わされるようなふれあいはむしろすごくすごく気持ち良いものだった。

 時間をかけてやっと暖かくなってきた部屋の中には二人の吐息とちいさな水音が響いていた。

「んっ……あっ……ちょっと……待って」

 胸を叩いていつの間にか自分をきつく抱きしめていたゴトフリーから離れると、アリスは彼の顔を見上げてその紺色の瞳に奥に灯った欲望の光を見つけてすごく嬉しくなった。

「寝室はこの奥なの。連れて行って」

 そのお願いに彼は頷いてアリスの体を抱き上げた。その動作には、もうさっきまでの躊躇いは見えなかった。
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