素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 竜騎士である彼は幼い頃から続く過酷な競争を勝ち抜いてその職に就いている訳だから、それこそなんでも出来ると言っても過言ではない。勉強だって高等学院に通っていたアリスと同程度には出来ていたはずだ。そう思うと、なんでそんな彼が自分と付き合っているのか、やっぱりわからなくなる。

「アリスが彼の得意そうなことをわからないふりをして聞いてみたら? わかっていてもわからないふりしても良いじゃない。なんでも正直に言わなくて良いのよ。それで向こうが良い気分になるなら嘘も方便よ」

 リリアの言っていることはもっともなんだけど、それは褒め上手の高等テクニックだ。けれど今までまともに気になった男性と話すことも出来なかった自分が上手く彼の前で嘘をつくことなど出来るのだろうか。

「誰かに好かれるって難しいね……ゴトフリーが何かのきっかけで奇跡的に今私のことを好きで居てくれるのはわかるんだけど、これからもずっとそれを継続させたいの。リリアが今ダニエルに好かれているみたいに。私たちもいつかそうなりたいんだ……」

 そうため息をついて頭を悩ませる親友の姿を見てリリアは微笑んだ。
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