素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「……そうだね。アリス、俺はね、人生でただ一人しか出会えないだろう恋人を見つけた幸運な男だよ。君のことをただただ愛している。その分失った時の悲しみを想像すると堪え難いんだ。どうしても、恋はいつか終わってしまうと、そうどこかで冷静に考えている自分がいる。でもね、君が俺のことを忘れて誰か他の男の元に行ってしまうくらいなら……ごめん。突然こんなこと言われたら怖いよな……嫌いにならないで、アリス」

 そう言ってぎゅっとゴトフリーはアリスを大きな体で包み込むように抱きしめた。

 アリスはやっぱり戸惑ってしまった。そうか、彼はいつかこの恋が終わることも予想している。何度か恋の始まりと終わりを知っているせいもあるだろう。お互いが初めてならこんなことはなかったのだろうか。でもアリスが好きになったのは、目の前のゴトフリーで彼以外はもう考えられない。いくら今愛の言葉を尽くしても、きっと彼は心からは納得出来ないだろう。
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