素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 ゴトフリーの横顔をじっと見つめていたアリスに気が付いたゴトフリーは優しく問いかけた。二人の休みが久々に合った今日は付き合う前に連れて来てもらったことのある森の中にある美しい湖にやって来たのだ。彼の竜であるアレックのお気に入りの場所であるそこは、風光明媚という言葉がぴったりのそんな景色が目の前に広がっている。そろそろ寒さが落ち着いて来たから、敷布を敷いている草原の中にチラホラと綺麗な花も咲き始めている。

「……ううん、なんでもない。アレックは昼寝しているの?」

 そのアリスの言葉にゴトフリーは心の中を探るように視線を宙に浮かせる。いつでも心の中で話すことの出来る不思議な存在が居る彼を羨ましいと思ってしまうこともあるけれど、それは幼い頃から死ぬほどの努力を重ねた人の特権だ。竜騎士である彼のことを本当に自慢に思っていることを以前話したら、照れくさそうに笑ってくれたから、彼の友人からの助言はやはりかなり的を射ていたのだ。

「俺の呼びかけにも答えないし、もう寝てるんじゃないかな。どうしたの? もう帰りたくなった?」
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