素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 あの時に言っていたように迎えに来てもらおうにも、今ここがどこだかわからない。彼らは信じられない程の速度を出すことの出来る移動手段を持ってはいるが、それを使うにしても迎えに来る自分の位置がわからないと無理だろう。

 なんでこんなことになってしまったんだろう。あの時偶然会えてから、ゴトフリーと付き合ってとても、幸せで。まさかこんなことになるなんて夢にも思わなかった。

 狂気すら感じさせるように叫んで、叫んで、この場所から、逃げ出したかった。でも、猿轡をされた口からは何の音も出てこない。横倒しになっている体は動かせないし、いつ来るともしれない陵辱の予感の恐怖とも戦った。

(アレック……アレック……怖いよ。こわい……こわいよ……最後に、ゴトフリーに会いたかった……)
< 272 / 292 >

この作品をシェア

pagetop