素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 アリスは城で働く個人の経費担当の文官だから、遠征が日常茶飯事で経費を精算しなくてはならない竜騎士達とは良く顔を合わせていた。だが、今はいつもかけている眼鏡も外しているし、お団子頭も解いてそのさらりとした直毛の黒髪は背中を覆っていた。だからいつも書類を受け取る一瞬しか面識のない彼等に気が付かれるはずがない。

 結構な量の酒を飲んでご機嫌な頭の中はさっきの質問があったということは、ということに終始していた。

(真っ赤な顔したゴトフリーさん、私が持って帰って良いってことかな?)
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