素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 城の大広間借りる程の招待客がいる竜騎士と文官の結婚式なんて聞いたことがない。そもそも竜騎士はしがない文官となんか結婚しない。どこかの美しい貴族令嬢とか匂い立つような美貌を持つ有名な歌姫とか舞姫とか、その辺だったらお決まりのコースだけど。

 いや、その前にアリスとゴトフリーの結婚が決まったことであるように進んでいく会話の流れがわからない。

 アリスは仕事中のいつもの髪型であるお団子頭を掻きむしりたくなった。

(ほんとに分からない。なんなの。何がどうなってこうなったの。なんでこんなことになったの。全然意味がわからないんだけど!)

「私はこの人と結婚しません。室長も呼びません」

 ゴトフリーを指差しながらがたんと音をさせて椅子から立ち上がり、完全にこの状況を面白がっている室長を睨んだアリスに、愛妻家で有名な彼はいかにも自分はわかっているよという笑いで頷いた。

「またまた、そんなこと言っちゃって。マーシュくん、うちのアリスくんってほんとに素直じゃなくてごめんねー」

「はい、そういうところも可愛いなって思ってます」
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