素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 そう呟くとおろむろにアリスのかけていた眼鏡を取り、ゴトフリーはその眼鏡をかけてびっくりしたまま目を瞬く彼女を見下ろした。

「どう? 俺も頭良さそうに見える?」

 にこっと無邪気に笑ったその可愛らしい顔が、思ったより深く胸に刺さってしまった気がして、アリスはやっぱり心の中と違うことを言ってしまった。

「ゴトフリーには全然似合わないよ」

「そう? 残念」

 アリスの心の中の葛藤なんて、全部お見通しみたいな顔して肩をすくめると、きちんと畳んだ眼鏡を返してくれた。

「アリスって眼鏡なくても人の顔見えるの?」

「うん。小さな文字が霞むことがあるから、仕事中だけかけてるの。普段は問題ないよ」

「そっか。ベッドの中でもかけなくて良いから良いね」

「仕事中だよ……何言ってるの?」

 ちょっと顔を赤くして睨んだアリスにゴトフリーは微笑んだ。

「寝る時もずっとかけなくて良いから楽だろ? 何想像したの? アリスいやらしい」

「いやらしいのはゴトフリーでしょ! もうっ、仕事の邪魔しないでよ」

「はは、ごめん。じゃあまた来るね。アリス」

「もう来なくて良いよ」
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