【6/5書籍発売】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【9/12シーモア先行コミカライズ連載開始】
「もうっ……付き合ってもいない男が婚約したくらいで何よ。要は関係性はただの顔見知りなんでしょう。食事に誘われた訳でもないし」

 その言葉が突き刺さる。そうだ。それは間違ってない。でも、恋愛経験が少ないアリスの中ではもしかしたらという思いがあったのだ。ザックリと淡い期待があった女心を刺してくるリリアに小さい声で抗議する。

「でもっ……期待持たせるなんてひどいよー。いつも声かけてくれるし、もしかしたら気があると思うじゃない」

「通る度に声かけられるだけでしょう。向こうもまさかこんなことになっていると知ったらビックリよ。失恋に数えるのも微妙なところよ。それに気になっているならその辺もさりげなく確認しなさいよ」

 アリスはむっと唇を突き出した。リリアの言っていることはいつも正しい。だからと言って正しいことがいつもまかり通るとは限らないし、正論が不完全な人の心の機微まで察してくれるなんて思えない。

 ここで二人で行われているのは、恋愛経験値ゼロのアリスが勝手に期待して勝手に失恋した打ち上げパーティだ。
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