素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
 かわいい柄の大きな敷布の上でさっきまでの彼のようにごろんと横になって、穏やかなひだまりの中でゴトフリーが帰るまですこしだけ目を閉じようとそう思ったことだけ、覚えている。

 目を開いたその時、ゴトフリーの可愛い顔が間近にあって、アリスは今までみていたあまい夢の続きのようで嬉しくて笑ってしまった。

 その笑顔をみてゴトフリーは目をすこし見開くと、アリスの頭を大きな手で優しく撫でながら静かに言った。

「おはよ、アリス。美味しいデザートも買ってきてるから、そろそろ一緒に食べよう」

 それから体をゆっくり起こそうとしたゴトフリーの顔が遠ざかってしまうのがなぜかすごく嫌で、ふわふわした起きたての思考の中、衝動的に彼の唇に自分の唇を重ねた。

 彼はひどくびっくりしたようにしばらく動きを止めると、自分の隣で横になっているアリスの背中に手を回してゆっくりと自分の体の上に抱き上げた。

 くっついたままの唇を離したくなくて、彼の首裏に手をかけると、アリスはぺろりとちいさな舌を出して彼の唇を舐めた。その拙い誘惑に誘われるようにゴトフリーはゆっくりと口を開くと、アリスの舌をするりと吸い込んだ。
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