素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「アリスちゃん、せっかくこんな所まで来てくれたんだし、ゴトフリーに会ってやってよ。なんか朝から暗かったんだけど君の顔みたら元気になるだろうしさ」

「そうだよ、あいつ、いつも同じ場所で食べてるから。俺達が案内するよ。それにすぐそこだから」

 優しい言葉をくれた二人が大きな手で背中を押してくれるから、アリスはこくんと素直に頷いた。

 それを見てほっと息をついて顔を見合わせると、エディとナイジェルは、軽口を叩き始めた。

「アリスちゃん、ほんとに久しぶりだよね。あいつ嫉妬深いから大変だろ?」

「そうそう、アリスちゃんのところに行く理由が欲しいから書類を代理で持って行ってるしな、まぁ俺はあいつに急かされて期日に間に合うから助かってるけど」

 いかにも様子のおかしい自分に気を使ってくれているのが良くわかる二人の言葉に当たり障りなく答えながら、アリスは、彼に会ったら何を言おうか悩んで頭の中が渦を巻いていた。

(そうよ、まず最初は挨拶して、それと昨日のお礼言って……)

 すぐそこだというその言葉の通り、ゴトフリーが膝に弁当を乗せて座っていた場所にはすぐに辿り着いた。
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