素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「えっと、ゴトフリーって自分でお弁当作ってるの……?」

 何でもないことのようにゴトフリーは頷いた。

「そうだよ。俺の家、母親しかいなくてさ、その母親も俺が成人して職を持ってから再婚したから、今は一人暮らしだし家事はほとんど自分でしてるんだ」

「すごいね……」

「ふ、俺は貴族とか、裕福な商家の出身でもないからね、小さい頃から手伝いをやらされていたっていうのもあるんだ。人を雇うことも出来るんだけど、遠征とかで家が不在の日も多いから、なんかそれも勿体無くて。洗濯だけは仕事が立て込んでくると間に合わないこともあるから、たまに日雇いで来てもらってやってもらってる」

 ゴトフリーは経済観念が物凄くしっかりしているらしい。竜騎士なら街中に豪邸も構えて使用人をたくさん雇うことも可能だろうに、思ったより庶民的みたいだ。アリスはそういう彼らしいところも好きだなと思ってしまった。

「えっとね、でも私そんなに料理上手じゃなくて、がっかりするかも……」
< 85 / 292 >

この作品をシェア

pagetop