素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる
「あいつ、恋人が出来たのに緊急連絡先に登録してないのか。前々からバカだなとは思ってはいたけど、本当のバカだろ」

 あきれたようにブレンダンを見た団長の誤解をときたくて、アリスは慌てて言った。

「そのっ、私達、付き合ってないんです」

 泣き顔で発せられたその言葉に、虚をつかれたようにぽかんとすると、彼は口元を押さえ、ふっと笑った。

「あー、なるほどなるほど、そうかそうか。友達以上恋人未満的なやつか。やばい、俺も歳とったわ。今その言葉を言って自分でめちゃくちゃ恥ずかしくなってる」

「なんとかならないんですか、団長」

 ブレンダンの言葉に、ふむと考えるように頷くと、自分を切実な目で見つめているアリスをちらっと見た。

「そうだな、とりあえず俺が城に帰ってから彼女を緊急連絡先にする書類に判押しておけば、通達されて手続きの済んだ明日からなら入ることも出来るだろうけど……今すぐに会いたいよなぁ?」

「お願いしますっ……」

 アリスはまた涙が出てくるのを感じた。もしかしたら、ゴトフリーに会えるかもしれない。
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