Honey Trap



「里央たちと遊んでただけよ」


言い訳がましく口にすれば、まるで私が叱られているみたい。

なにも悪いことをしているわけじゃないのに。


「リオ?…あぁ、あの "お友達" ね」


いやに、お友達、の部分を強調する。

それがただの私に対する嫌味なのか、はたまた別の意味を含んでいるのか、男のつまらなさそうな声音からは判別できない。


「へぇ」


含みのある笑い方。


「おまえに男の "お友達" がいたとは意外だわ」



……あぁ、私は馬鹿だ。


どれだけ私が優位に立とうとしてもこの男は、ひらり、と簡単に主導権を奪っていくのに。

油断した。

最初から、不機嫌の理由はそれしかなかった。


「ッ、」


首筋に噛みつく唇の熱さと、服の裾から素肌を滑る指先の冷たさを感じながら。

思考はとっくに男から与えられる熱に、溺れている。



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