Honey Trap



「ねぇ、ねぇ。みんな学校に好きな人いる?」


翌日、朝から自宅に何人かの友人を招いて宿題に勤しんでいた。

こういうのは大抵、途中からただのおしゃべりの時間へと変わる。


女子が複数人集まればその中身は恋バナか、悪口のどちらかである。

家には共働きの両親に代わって、今は祖母しかいないから女子トークの議題には持ってこいだ。


「おっと?」

「なに?のんは好きな人いるってこと?」


すぐさま周りから詰め寄られる友人は、「違う」と口にしながらも顔を真っ赤にして説得力がない。


「そういうのは、言い出しっぺから言うんだよ」

「ほらほら、白状しろー?」

「えー、…いる」


口元を手で隠して、小さな声で告げる。


小学生でも女は女。

この手の話は、いくつになっても盛り上がる。

きゃー、と歓声が上がる。



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