Honey Trap



その日は前もって運び入れていた荷物と、一緒に持ってきた日用品などを軽く整理して、ひとまず休むことにした。


古い一軒家は同居するに当たって、キッチンもお風呂場も綺麗にリフォームされていた。

2階が私たち親子の居住スペースに充てられていて、以前のアパートにはなかった子供部屋には純粋に心が躍った。


「ここがみっちゃんのお部屋だよ」

「わぁ…」

「気に入った?」

「うん」

「美千香、よかったわねぇ」


祖母に案内されて、階段を上がってすぐの扉を開ける。


南向きの大きな窓からはたっぷりの日射しが入り、部屋全体を明るく広々と見せる。

オープンクローゼットに施された花柄のアクセントクロスも、淡い色合いが優しいカーテンも、きっとママの趣味。

私の趣味ではないけれど、素敵だと思った。


大人たちが寛いでいる間、自室で貰ったばかりのおもちゃを広げてみたり、他の部屋を覗いてみたりと珍しくはしゃいでいた。



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