Honey Trap



「あ、ほんと?」


私の返答を聞いた和田くんは、気まずさとほっとしたのを織り交ぜたみたいな複雑な表情をしていた。


「暇だったら清水さんも来てよ」


さすがにさっきの今で、あからさまなお誘いはしてこないか。

それくらいの引きは心得ているらしい。


「クリスマスってことは補習終わってからでしょ?」

「なにかまずい?」

「学校帰りに制服で寄り道するのはなぁ…」

「清水さん、まじめ。そういうとこもいいんだけど」


後半、小声になっているけどばっちり聞こえている。


そういうとこ、ってなによ。

私のことなんて、見えているうちのほんの一部分しか知らないくせに。

どうしてあなたに私を評価されないといけないの。


なんて、決して表には出さずに、心の中で静かに毒づくくらいには性格悪いと自分でも思う。


過大評価しすぎ、と思いつつも、素を曝け出せば面倒くさいことになるのは目に見えているから、このスタンスを崩すつもりは絶対にない。



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