Honey Trap



それに気を良くした私は、男の横に座ってその手元を覗き込む。


「なにしてるの?」

「ゲームだよ。やってみる?」

「うん」


初めて見るゲーム機。

もちろん触るのも初めてだったけれど、男の説明が分かりやすかったのもあって私はすぐに要領を得た。


「これ動かすと向き変わるから、動きたい方に倒してみ?」

「わ、うごいた」

「今度これ」

「これ?」

「うん、このボタンで攻撃できるから。たくさん押してみ?」


言われた通りにボタンを押してみると、攻撃を受けた敵が倒れていく。


「わっ」

「上手いじゃん」


近づいてみると男はあっさりと懐に入れてくれて、やっぱり罠に嵌まったのは私の方なのかもしれない。



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