Honey Trap
「お、お兄さんが教えてあげよっか?」
「おまえが?教えれんの?」
「さすがに小2くらい、いけるだろ。馬鹿にすんなよ」
早々に面倒な展開へと発展する。
「宿題、あんの?」
どう切り抜けるべきか困っていると、男が口を開いた。
「宿題は、もう終わったよ」
「じゃあ、おまえらの出る幕はないな。宿題、頑張ったいい子にはご褒美あげないと」
そう言って男は、デスクの上にこれ見よがしに置かれたかわいらしくラッピングの施された袋を掴む。
私の手を取ると、広げた掌にそれを乗せた。
「は?」と思わず、素で声を上げそうになって慌てて口を噤む。
「いやいやいやいや、おまえなにやってんの?」
「それはないわ。貰ったプレゼント、人にやるとかないわ」
一瞬、凍りついた空気を切り裂いたのは、男たちの非難の声。
男の瞳から光が消えていてぞくり、とする。