強烈な旦那様♡おバカなカメ
「━━━━ねぇ、りーくん」
「ん?」

「りーくんの高校の時のお仲間さんのことだけど」
「うん」

「今度、ご飯ご馳走したいなって思ってるんだけど、どう?」

「は?」
李範の動きが止まる。

それもそのはず。
夏菜は、こんなことを言ったことがないのだ。

「私、美味しい料理作るから!」


「━━━━━━なんで?」
李範自身も、びっくりする程の冷たく重い声が出た。

「え……」
夏菜が、ビクッと怯える。

「カメ、どうした?急に」

「………」
夏菜は理由を伝えようとするが、上手く声が出せなくなっていた。

「カメ、言え」

「り、りーくん…友達……私も、仲良く…なりた…」
とぎれとぎれに、言葉が出た夏菜。

「はぁ…わかった。
ただ……」
「え…」

「変な気、起こすなよ?」

「変な…気?」

「カメは“俺の”嫁さん。
嫉妬するから、あんま仲良くなるなっつってる」

「嫉妬?
りーくん、私がお仲間さんと話してたら嫉妬するの?」

「あぁ、する」

「………フフ…」
目をパチパチさせていた夏菜が、今度は笑い出す。

「何故、笑う?」

「だって、嬉しいんだもん!
フフ…りーくんが嫉妬してくれた!
そのくらい、私のこと好きってことだよね?
嬉しいー!」

今度は、李範が目をパチパチさせていた。
先程まで、あんなに怯えていた夏菜。
しかし李範の嫉妬一つに、あっという間に嬉しそうに笑う。

ほんとに、素直で純粋な女だ。


夏菜には、驚かされてばかりだ━━━━━━

出逢ったあの日から、夏菜は決して李範を見た目で判断しなかった。

初対面で真っ直ぐ目を見て話してくれたのは、夏菜が初めてなのだ。

仲間達(親友の和貞(かずさだ)風春(かざはる)朝臣(あさおみ)は除く)や純香でさえも、最初は怯えを感じていたのに、夏菜にはそれがなかった。

真っ直ぐ見て、真っ直ぐ思いをぶつけてきたのだ。

それが、心を奪われた最大の理由と言っていいくらいだ。

今だって、李範自身も驚く程冷たい声が出て“カメを怖がらせた”と思ったのに、夏菜は怯えながらも目は決して逸らさなかったのだ。


「カメ」
「ん?」

「言っておく」
「うん」



「俺はカメが思ってるよりも、カメを愛してる。
だから、ほんの小さな事でも嫉妬しちまうんだ。
覚えておけよ」

「フフ…はぁーい!」

夏菜は、心底嬉しそうに笑っていた。
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