社長は身代わり婚約者を溺愛する
「信一郎さんのせいじゃないよ。」

「いや、俺が結婚の話になる前に、沢井社長に話さなければ。」

私はそっと、信一郎さんを抱きしめた。

「一緒に、考えよう。」

信一郎さんは、目を合わせるとうんと頷いた。


「礼奈。」

「ん?」

「俺は、あの日。芹香さんの代わりに来たのが、礼奈でよかったと思っている。」

私の胸がじーんと熱くなる。

「芹香さんじゃないって分かった時は、政略結婚の事考えてしまったけれど……」

「信一郎さん、好き。」

想いが溢れてきた。

「私も、あの日。芹香の代わりにお見合いに行ってよかったって、思ってる。」

「礼奈……」

「芹香の代わりを演じたのは、信一郎さんが芹香みたいなお嬢様を求めていたから。」

信一郎さんは、私の背中に腕を回した。

「ごめん。俺がよく写真を見ていたら、間違える事はなかった。」

「いいの。そのおかげで、信一郎さんと愛し合えるんだから。」

唇を重ねて、私達は出会った事に、感謝した。


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