社長は身代わり婚約者を溺愛する
そしてまた、芹香に呼び出された。

「お父さんから聞いた。慰謝料を請求されたんだって?」

昼下がりの午後。

美味しいコーヒーを飲んでいるのに、空気が重い。

「うん。」

「いくら?」

「5,000万。」

「どうして、そんな大金を⁉」

芹香、詳しい事を聞いてないのかな。

彼女のお父さんは、政略結婚の事、どこまで話していたのだろう。

「元々、信一郎さんとの結婚には、1億のお金が動くはずだったんだって。」

「1億⁉」

芹香はそれを聞いて、顔を青くした。

「政略結婚で、1億のお金が動くなんて、あまり聞かない。」

「えっ?」

「知り合いで、親が決めた結婚をしている子がいるの。いわゆる政略結婚よ。」

「う、うん。」

「その子でも、2,000万だって言ってた。」

2,000万。

それは何のお金なんだろう。

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