社長は身代わり婚約者を溺愛する
その事を付き止めないと。

「そうなると、何度か芹香さんに会った方がいいな。」

「えっ……」

すると信一郎さんは、クスッと笑った。

「なんだ、礼奈。嫉妬しているのか。」

「そんなんじゃないよ。」

「そうか?顔に書いてあるぞ。」

私は頬に手を当てた。

「あははは。」

信一郎さんは、それを見て笑っている。


「大丈夫だよ。俺は、芹香さんの事を好きにはならない。」

「本当?」

「礼奈がいるのに、どうして好きになるんだよ。」

私は苦笑いをした。

どことなく、感じていた。

信一郎さんは、お嬢様を求めているのだと。

それは、私が貧乏な家の娘だって分かっても、求めてくれている事で違うと分かったけれど。


もし、芹香が本気で信一郎さんを、口説いたら?

相手はちゃんとしたお嬢様だし。

家柄も人柄も、申し分ないはず。

そんな状態で、上手くいかない事なんて、あるのだろうか。
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